ドアの隙間から覗いてる目…どうしてそこに?

深夜、ぼんやりとテレビを見ていた時、ふと玄関の方から視線を感じた。気のせいだと思いながらも、妙に落ち着かない。玄関のドアには少しだけ隙間が開いている。
「風かな…」と自分に言い聞かせ、近づいて確認することにした。ゆっくりと歩み寄ると、その隙間の奥に、確かに何かが動いたような気がした。

手を伸ばしてドアを閉めようとしたその瞬間、隙間からこちらをじっと見つめる、何かの目があることに気づいた。光の加減で不気味に反射しているその目は、明らかに人間のものではなかった。


足がすくんで動けなくなる。ドアを閉めたいのに、体が言うことを聞かない。
すると、その目がわずかに動いた。何かがこちらに気づき、確実に私を観察している。

玄関の外から、かすかな声が聞こえた。低くて掠れた声。言葉は聞き取れないが、何かを繰り返している。怖くなって耳を塞ぎたいのに、逆に聞こえを良くしようと耳を傾けてしまう。

「……わたし……いるよ……」

その声が途切れた瞬間、ドアの隙間にあった目が消えた。静寂が戻り、私はドアの外に誰もいないことを確認しようとドアノブに手をかけたが、なぜかノブが冷たく凍りついたように動かなかった。

その時、ドアの向こう側で何かが大きく動く音がした――。


ドアの向こう側で重い音が響いた直後、玄関の床にじわじわと黒い染みが広がり始めた。まるで液体が漏れ出しているように見えたが、不自然に濃い。

その染みが私の足元にまで伸びてきた瞬間、足首に冷たい感触が走った。驚いて後退ると、染みの中から細い手が伸び、ドアの隙間へと消えていった。

恐る恐る覗き込むと、隙間の向こうに人の顔がぼんやり浮かび上がった。まるで笑っているかのようだが、その顔は徐々に歪み、輪郭を失っていく。気づけば顔も目も何もかも、ただの闇になっていた。

その闇が急速に膨らみ、隙間を埋め尽くした時、私はドアを強く押さえつけた。しかし、すでに遅かった――耳元で囁くような声がまた聞こえた。「ここにいるよ…ずっと。」


「その隙間、閉める前にもう一度覗いてみて…まだ見ているかも。」